yutuki2tuki's blog

なにもしていません

信じられるということ、群馬5区について

挨拶に立った前原国交大臣はまず、「皆さんには何の瑕疵もない。被害者である。大変な困惑と怒り、迷惑と将来に対する不安を抱かせてしまっていることは政治の責任である」と述べ、長年に渡る反対運動の末にダム建設という苦渋の選択をした参加した地元住民に対し陳謝した。

そのうえで、「なぜ民主党政権はダムの建設中止を決断したか」と切り出すと、多くの日本人が抱えている日本の将来への不安は、(1)人口減少、(2)65歳以上の人口比率が高い少子長寿化により働き手が減少し社会保障が必要な人口層の増大、(3)900兆円を超える莫大な借金−−の3点が主な原因であると分析。民主党はこれを前提に税金の使い方を大きく変えていくと約束して政権に就いたとして、公共事業を圧縮し医療・介護・年金といった社会保障の充実や教育、子育て支援に充てていく必要性を訴えた。
(中略)
「これまでダムありきの生活再建策を考えてきたのですぐに切り替えはできない」「近隣地域を含め手厚い保障を」などとする声が相次いだ。

これに対し前原国交大臣は、公共事業全体を見直す必要性を重ねて訴え、一度始めたら止まらないこれまでのあり方を改め、法律や予算的裏づけを行いながら生活再建を保障していくと主張。同時に長年ダム事業に、政治に翻弄され続けてきた水没地区の住民の苦悩に理解を示した。
「八ッ場ダムに係る水没地区住民との意見交換会」に参加 前原国交大臣(10.01.24 民主党プレス)

「コンクリートから人へ」のスローガンのもと八ッ場ダム中止は始まった。しかし――あれから3年が経ち、八ッ場ダムは建設再開、工事は順調に進んでいる。周辺には田舎の山村には不釣り合いな、立派な道路と橋が建設されている。本体もいずれ着工するのだろう。舗装も真新しい快適な道路を走りながら、かつての曲がりくねった崖沿いの細道を思い出し、半ば悲しい心地になった。
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(11.09.19 筆者撮影)

大沢正明知事は17日、衆院選結果について「3年3カ月の間、前に進まない実態を国民が把握し、今の政権には国は託せない、という思いでこのような結果になったと思う。新しい政権には国民の気持ちをしっかりくんで、前に進む政治を行ってほしい。県内で自民党が5議席独占したことは、非常に良かったと思う。八ツ場ダムの問題で長い間苦悩されている方々がいるが、これも一気に解決に向かうと思うので大いに期待している」とするコメントを発表した。
大沢知事「八ツ場解決に期待」(12.12.18 MSN産経ニュース)

前原氏の発言を読む限り、それは決して間違っていなかったように思う。もちろんその説得に失敗したのだ。理念が正しいからといって、それを正義として押し付けることはできない。戦後直後からの懸案だったダム建設、それも数年前に地元の方々は建設に踏み切ったわけだ。これを蒸し返すというのは難しいのだと思う。
しかし、と僕はどうしても付け加えたくなる。そうだとしても、なぜできなかったのだろうと述懐する。どうしてなのだろう。

群馬5区で、自民党の小渕優子氏が5回連続の当選を決めた。

父・恵三元首相の急逝を受けて出馬した2000年の衆院選で初当選。08年には、戦後最年少で少子化相として初入閣するなど、圧倒的な知名度を誇る小渕氏は選挙期間中、応援演説のため全国を駆け回り、ほとんど地元入りをしなかった。

しかし、強力な後援会組織が着実に支持を固め、他の候補を寄せつけなかった。
小渕優子氏、5回連続で当選…群馬5区(12.12.18付 産経ニュース)

それと僕が今回ショックだったのは、この八ッ場ダムのある群馬5区に民主党候補が今回だけでなく前回も候補者を出していないことだった。知らなかったことは恥ずべきだが、驚いた。どうしてなのだろう。負けるからか、そうか。だとしたら、候補も出さない党などどうして信じられるのだろう。

そして、その党に投じた自身について。再考しなければならない。